性別適合手術とは、Sex Reassignment Surgery(SRS)の訳で、性同一性障害(Gender Identity Disorder)と診断された方の心の性別と身体の性別を一致させる美容外科手術の一種です。
近年では、性同一性障害(Gender Identity Disorder)を性別不和(Gender Dysphoria)として、精神疾患のカテゴリから分けて考えられる様になりました。
MtF(男性から女性へ)の性別適合手術(SRS)のうち、膣を造る方法は、基本、性交渉を行う事を想定して行われます。性交渉を予定していない方は原則、造膣を行わない方法の性別適合手術(SRS)を選択することになります。
MtF(男性から女性へ)の性別適合手術(SRS)には、どの様な方法があるの?
それぞれの方法について詳しくお知りになりたい方は、弊社までご相談下さい。
陰茎皮膚反転法
この方法(術式)は、最も古い性別適合手術(SRS)の方法の一つで、陰茎の皮膚から膣を造ります。利用可能な素材(皮膚)の大半を造膣に利用するとなると、小陰唇などの形成の為の素材が不足し、結果として、審美性が失われる事となります。
膣の深さは現在の陰茎の大きさ(長さ)に左右されるため、陰茎の大きさが比較的小さい(短い)日本人には適しません。
現代では、利用可能な素材は主に小陰唇など審美性を高めるために利用し、この術式は主に「造膣なし」性別適合手術(SRS)として扱われます。
陰嚢皮膚移植法
この方法(術式)は、現在最も主流の術式の一つで、陰嚢の皮膚から膣を造ります。
膣の深さは睾丸摘出前で平均12-13cm前後ですが、現在の陰嚢の皮膚に余裕があるかどうかに左右されるため、長年のホルモン治療や睾丸摘出などで陰嚢の皮膚に余裕が無い場合は、深い膣が造れない場合があります。
通常は、執刀医まで想定される膣の深さを確認した上で手術に臨むことになります。膣の深さが取れないからといって、手術が出来ない事は通常、ありません。
S字結腸・陰茎腹膜造膣法
この(術式)は、比較的近年になってから取り入れられた術式の一つで、S字結腸や腹膜の一部を血管や神経などが繋がった状態で移動させ、膣を造ります。
膣の深さはS字結腸法では平均15cm程度、陰茎腹膜造膣法では平均10-13cm前後となり、主に身長に左右されますが、体質などでS字結腸が短い場合は平均よりも膣が浅くなります。
この術式では、腹部を切開する必要があるため、腹部にある程度の手術痕が残るという意味で。外見上のデメリットがあります。
日本と海外のMtF(男性から女性へ)の性別適合手術(SRS)費用の例
実際にMtF(男性から女性へ)の性別適合手術(SRS)を検討する場合、まずは日本国内での手術から比較検討を始めると良いでしょう。しかし、近年では技術や美しさの面から、2015年現在の調査によると、全体の6割近くの方が海外での性別適合手術(SRS)を選択されています。
日本国内・大学病院での手術費用の例
(会陰部女性化術)
(膣形成術+会陰部女性化術)
(腹腔鏡下膣形成術+会陰部女性化術)
日本国内・クリニックでの手術費用の例
コラム 日本で手術すれば保険適用になるの?
残念ながら、2022年11月現在では「ホルモン治療を受けていれば保険適用外とする」と定められており、日本国内での手術を希望する方の大半が保険適用外となっているのが現状です。
通常、日本国内では性別適合手術を受けるためには、精神科医の元でGID学会の定めるガイドラインに沿って、ホルモン治療や希望する性での生活などのステップを踏むことが必要とされており、ホルモン治療を受けずに性別適合手術が受けられる方は極めて稀と言えるでしょう。
海外(タイ)での手術費用の例
日本国内と海外(タイ)での手術に費用以外の違いはあるの?
日本国内でのMtF(男性から女性へ)の性別適合手術(SRS)と、海外(タイ)での手術を比較した場合、手術費用以外のメリットやデメリットにはどの様なものがあるのでしょうか。
日本国内(大学病院)
- 日本語が使える環境での入院となるので、言葉の壁が無い
- 日本ならではのハイレベルな看護が期待でき、入院中の相談もし易い
- 術後の問題の際の通院がし易い
- 手術費用がやや高額
- 海外(タイ)と比較して、技術レベルや審美性が僅かに落ちる
- 半年〜1年近くの待機期間(手術待ち)が必要で、学業や仕事との調整が困難
- 手術可能な大学病院が非常に限られており、比較的遠方となる事が多く、交通の便が悪い
- 手術経験者による術後写真や体験談などの情報が非常に限定的
日本国内(クリニック)
- 手術費用が比較的安価
- 日本語が使える環境での手術となるので、言葉の壁が無い
- 日帰り手術などがあり、限られた休暇でも手術できる
- 比較的近隣で、交通の便も良い
- 術後はビジネスホテルなどで自力で患部ケアをする必要があり、患部を悪化させやすい
- 相談できる医療関係者や当事者がおらず、自分で判断する必要がある
- 患部の審美性が比較的悪く、本物とはとても似ても似つかない様な外性器に仕上がることも珍しくない
海外(タイ)
- 手術費用が比較的安価
- 日本より手術の歴史が長く、技術レベルや審美性は世界トップレベル
- 必ず入院することはもちろんのこと、術後ケアも充実しており、帰国後に問題が発生する事は非常に稀
- MtF当事者の居るアテンド会社を利用すれば、相談もし易い
- アテンド会社を利用しない限り、言葉の壁が問題となる
- 手術費用以外に渡航費用や滞在費用などがかかる
- アテンド会社を利用しない限り、術後ケアやアドバイスなどの入手が困難
MtF(男性から女性へ)の性別適合手術(SRS)FAQ
MtF(男性から女性へ)の性別適合手術(SRS)に関して、お客様から良く頂くご質問と回答です。
「手術費用が高い=効果が高い・安全性が高い」と言う事は決してありません。
性別適合手術(SRS)は一生に一度限りの手術です。それぞれの術式には個々人で「合う・合わない」があり、術式の選択を誤ると一生を後悔して過ごすことになるかもしれません。
一般に、以下の様な基準で選択すると良いでしょう。
- 性交渉はする予定がなく、出来るだけ術後のメンテナンスの負担を減らしたい方 ⇒ 「造膣なし」
- 陰嚢の皮膚に余裕があり、性交渉も頻繁にする可能性がある方 ⇒ 「陰嚢皮膚移植法」
- ストレスなどでお腹を下しやすいなどが無く、胃腸が強い方で、出来るだけ膣の深さが欲しい方 ⇒ 「S字結腸法」
- 腸に持病があり、陰嚢の皮膚にも余裕が無いが、性交渉はしたい方 ⇒ 「陰茎腹膜造膣法」
どの術式が自分に合っているのかどうかをお知りになりたい方は、弊社までご相談下さい。
残念ながら、造膣する性別適合手術(SRS)では、ダイレーションが楽になる様な術式はまだ開発されていません。
造膣するどの術式でも、原則(頻繁な性交渉が無い限り)、一生ダイレーションを続けて膣を維持する必要があります。ダイレーションを止めれば、膣は徐々に萎縮し、最終的には閉鎖してしまいます。
インターネット上では、『「S字結腸法」や「陰茎腹膜造膣法」がダイレーションが楽になる』といった事実と異なる情報が流布されていますが、「S字結腸法」や「陰茎腹膜造膣法」は最もダイレーションに注意が必要な術式の一つです。
インターネット上の情報に惑わされずに正しい情報を知るには、弊社までご相談頂く事をお勧め致します。
残念ながら、これは事実とは異なる情報です。陰茎や陰嚢が萎縮していても、出来上がる(想定される)膣の深さにご自身が納得される限り、陰嚢皮膚移植法で手術ができる事がほとんどです。
しかし、日本人男性(パートナー)の平均の陰茎の長さが13cmと言われている為、出来上がった膣の深さが13cmに満たない場合は、性交渉にあたりパートナーの協力が必要となる可能性が高くなります。また、膣の深さが10cm未満では、性交渉はとても現実的では無いでしょう。
陰嚢皮膚移植法で想定される膣の深さを予め知っておきたい方は、弊社までお見積もりをご依頼下さい。
手術条件は各手術先医療機関ごとに異なりますが、「女性としてのフルタイム生活の証明」が必要な医療機関は弊社でご案内している医療機関の中では、ありません。
通常は、手術に際して用意頂く「英文のGID診断書」を持参しているというだけで十分です。
しかし、頭髪も短く、ヒゲも伸びていて、服装も男性装のまま、という状態では、例え「英文のGID診断書」を持参していても性別適合手術(SRS)が可能と執刀医が判断する可能性は非常に低くなります。
また、スポーンクリニックでは、「英文のGID診断書」に「女性としてのフルタイム歴」について簡単に記載しておくことを求められる場合があります。
各医療機関の手術条件については、弊社までご相談頂けますと幸いです。
当サイトについて
このページは、2004年から20年以上にわたりGID当事者の方々のため、タイSRS(性別適合手術/性転換)コーディネーターとしてタイのバンコクにてSRS手術先のご案内を行なっている「タイSRSガイドセンター」が作成しています。
弊社では、タイにある世界的技術レベルを有し、かつリーズナブルな医療機関と提携し、安全・安心な治療が受けられる環境と情報を提供しています。